紹介記事 : 日本経済新聞 2003年4月25日紹介
- 2012.05.22
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宇宙関連部品で中小連携 京浜臨海部など 年内に共同受注組織
神奈川県の京浜臨海部や東京都大田区に集積する中小製造業が連携し、国産品の調達が困難になっている宇宙関連部品を供給する試みが動き出す。神奈川県内の異業種交流団体や大田区の特定非営利活動法人(NPO法人)が推進役になり、年内に五十社程度が参加する共同受注組織を発足。宇宙関連部品を地場産業に育てる計画だ。
推進母体は中小企業百三十団体・社が加盟する神奈川県異業種グループ連絡会議(横浜市、南出健一議長)と、中小企業支援のNPO法人・大田ビジネス創造協議会(東京・大田、磯収二会長)。両団体が事務局になって参加企業を募り、年内に協同組合か共同出資企業を立ち上げる予定。
この組織を窓口に、宇宙開発事業団(NASDA)などからロケットや人工衛星に搭載する集積回路(IC)やエンジンの軸受け部品などを幅広く受注。部品の組み立て工程や新素材などの開発に共同で取り組み、コスト削減を狙う。
現段階で電子部品メーカーなど約三十社が参加を希望している。大手企業向けに人工衛星搭載用の光センサーを納入しているマークテクノロジー(横浜市)の赤塚剛文社長は「値下げ要請が激しく、このままでは採算割れも避けられない。複数企業が共同で開発・生産に取り組めば、コストを抑えられる」と話す。
駐車場のゲート関連機器メーカーで人工衛星用太陽電池のアンテナ部品も手掛ける東海技研(川崎市、川久保洋社長)は「宇宙関連部品の実績を増やすことで、技術力の高さをアピールできる」という。
東京都大田区でも工場数が二〇〇〇年末時点で六千百六十五とピーク時の一九八三年に比べて三二・九%も減るなど、空洞化が進む。
国産H2型ロケットの先端部品を供給したことがある北嶋絞製作所(東京・大田)は「様々な得意分野を持っている中小企業が集まれば、コスト面などで利点は大きい。組織への参加要請があればぜひ加わりたい」(北嶋一甫社長)と期待をのぞかせる。
NASDA 調達すそ野拡大狙う
重工業メーカーなどでつくる日本航空宇宙工業会(東京・港)によると、宇宙関連機器の二〇〇二年の市場規模は三千五百億円程度という。今後の市場拡大が期待されるが、宇宙関連部品は少量生産で技術革新も速いことから、採算割れを懸念して生産を中止する企業が相次いでいる。
NASDAはロケットなどに使う部品の認定制度を設けているが、約三百五十種類ある認定部品のうち、半数近くの部品が生産中止になった。国産部品の調達先を増やしたいNASDAは、昨年十月に専門委員会を立ち上げて対策を練ってきた。
NASDAでは「京浜臨海部や大田区には優れた技術を持つ中小企業が多い。国産ロケットなどの開発を維持するうえで、調達先のすそ野を広げることは欠かせない」(産学官連携推進室)とし、神奈川県異業種グループ連絡会などと協力して中小・ベンチャー企業の技術支援に取り組む方針だ。c
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