紹介記事 : 東京新聞 2004年1月19日紹介c

水上飛行機 飛ばしたい 脱・下請け 磯収二さん(55)
 好転し始めたといわれる日本経済。だが、中小企業に明るさを見つけるのは難しい。
 世界に誇る技術を持つ中小企業も少なくないが、大企業の下請け、孫請けをしているため、あらゆるひずみを強いられているのが実情だ。
 しかし「脱・下請け」を目指す中小企業もある。
 東京都大田区の中小企業の経営者、技術者らでつくる大田ビジネス創造協議会。そのホームページを開くと、模型の水上飛行機が水面を滑走する姿が映しだされる。
 「本物を飛ばしたいね」。画面を見ながら理事長の磯収二さんは目を細める。
 これが磯さんのマニフェスト。磯さんは、さらにこの水上飛行機の製品化も目指す。
 水上飛行機開発プロジェクトがスタートしたのは二〇〇二年の暮れ。
 協議会のメンバーには、「YS11」の設計にか携わった技術者もいる。
 研究機関との技術協力も期待できる。「技術的には自信がある。必ず飛ばせる」
 八分の一の実験用模型は既に完成。今後は、遠隔操作できる無人機をつくりノウハウを蓄積する。
 将来的には全長八メートル前後の二-四人乗りの有人飛行機をつくり、一機四百万-五百万で販売する計画だ。
 事業化に向け課題が多いのも事実。有人機の製造にかかる厳しい基準。ビジネスとしての需要見込みも不透明だ。
 それでも磯さんらは挑戦を続ける。「地場産業に水上飛行機を根付かせれば、地域の活性化につながる。夢のある製品をつくれば、若い技術者も必ず集まる」